製造業ニュース 2024年04月18日08:53

News Topics vol227

造船・重機大手のIHIは3月13日、同社と現地法人IHIアジア・パシフィック(タイランド)が、タイ工業団地公団(IEAT)と、再生エネルギーを活用するグリーンユーティリティ供給サービスの事業性検討を行う覚書を結んだと発表した。温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル(炭素中立)化と、省人化が目的。

News Topics vol227

IHIと工業団地公団
炭素中立などへ覚書

 IHIは、タイ工業団地内で使用されるボイラーやコンプレッサーなどの産業用機器を運用し、工場稼働状況に合わせてユーティリティーを効率的に供給する。加えて、太陽光などの再生可能エネルギーを最適化して活用することで、二酸化炭素(CO2)排出を最小限とするサービスの事業化を目指す。MOUでは、1年間の基礎調査として、設備の稼働状況や再生可能エネルギーの使用状況、団地内での再生可能エネルギーの生産可能性、削減可能なCO2排出量やエネルギー使用量などにいついての調査を進める。事業性が評価されれば、実証実験を実施し、商用化を目指す。
 政府は2030年に温室効果ガス30%削減する目標を掲げている。IEATは、工業団地内の産業機械におけるグリーンエネルギーの活用検討と、付加価値の高いスマート工業団地の開発を目指す。

製造業で労働者不足
経済社会開発委指摘
 
 国家経済社会開発委員会(NESDC)は、国家長期開発計画(2022~37年)で、製造業における労働者が10年ごとに300万人減少すると見通しを示した。ネーションなどによると、昨年の国内の労働人口は4,070万人だった。
 労働人口の減少が見込まれる半面、37年に必要となる労働力は4,471万人。労働力不足を補うためには、製造業における自動化やデジタル化が必要と結論付けた。自動化により生産効率が5%上昇し、労働者200万人分を補える見通し。
 また、中小企業の競争力向上に対する支援が必要との見方も示した。一方で、高齢化が進んでいることにも懸念を示した。デジタル技術になじみのない年齢層にとって、デジタル・トランスフォーメーション(DX)などは難しいと指摘した。
 
 
電子部品デルタ
中部で第8工場を稼働
 
 台湾系電子部品大手デルタ・エレクトロニクス(タイランド)は3月22日、中部サムットプラカーン県に電気自動車(EV)向け製品を生産する第8工場を稼働したと発表した。同時に開設した研究・開発(R&D)センターと合わせた投資額は30億バーツ。バンプー工業団地内の既存工場の敷地内に開所した。新棟とR&Dセンターの延べ床面積は3万400平方メートル。EV需要の高まりに対応するため、建設した。
 デルタはEV用に車載充電器やDC-DCコンバーターなどのパワーマネジメント関連製品、トラクション・インバーターなどのパワートレイン(駆動装置)製品、熱管理ソリューション、受動部品などを生産している。製品は欧米や日本の自動車メーカーに納入している。第1工場の敷地面積は2万5,000平方メートル。新工場はこれを上回る規模となった。
 
 
タイ投資委員会(BOI)
PCB生産への優遇対象を拡大
 
 タイ投資委員会(BOI)は3月28日、プリント回路基板(PCB)の生産に対する投資優遇対象の拡大を決定した。PCB生産に関する定義を、ラミネーション、ドリル加工、めっき、ルータ加工、電気テストなどにも拡大する。銅張積層板(CCL)、フレキシブル銅張積層板(FCCL)、プリプレグのほか、ドライフィルムなどの原料生産も対象とする。BOIによると、昨年にPBC生産関連事業で優遇措置の認可を受けたのは約40社で、投資総額は960億バーツだった。中国、台湾、日本などからのタイへの生産移転が目立った。
 
 
ソニー、パトゥムタニ県の
イメージセンサー新棟完成
 
 ソニー子会社のソニーセミコンダクタソリューションズ(本社・神奈川県厚木市)は3月28日、中部パトゥムタニ県で建設していた新棟が完成し、竣工式を開催したと発表した。現地法人のソニー・デバイス・テクノロジー(タイランド)(SDT)が、中部パトゥムタニ県のバンカディ工業団地内に建設。2月に生産ラインの稼働を開始した。
 同社はイメージング&センシング・ソリューション事業の後工程を担う生産拠点として事業を行っている。新棟は、同事業所における「4号棟」として、車載用イメージセンサーやデバイス、データセンター向けの半導体レーザーなどを生産する。雇用創出は約2,000人。市場動向に応じて生産設備を拡充することで、それぞれの製品の生産能力拡大に対応していく方針。
 SDTは2021年度から、再生可能エネルギー100%による稼働を達成している。4号棟のクリーンルームでも、必要部分に絞って清浄度や温湿度を管理する空調システム、廃熱・温水を再活用するリサイクル技術などを採用している。年内には屋根のほぼ全面に太陽光パネルを設置し、全面稼働させる。
 SDTは1988年に設立され、同工業団地内に半導体工場を設置している。敷地面積は13万7,252平方メートル。4号棟の延べ床面積は6万6,370平方メートルで、このうちクリーンルームの面積は1層8,800平方メートル。
 
 
昨年の工場新設2598件
投資3561億バーツ
 
 工業省工場局はこのほど、昨年の工場新設件数が2,598件だったと発表した。クルンテープ・トゥラキット(電子版)などによると、投資額は3,561億4,000万バーツ、新規雇用は10万6,631人だった。今年1~3月の工場新設と拡張などへの投資額は700億バーツ超となった。同局は、新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、投資が回復しつつあるとの見方を示した。新規工場の認可手続きについては先日、タイ工業連盟(FTI)関係者によって遅れが指摘されている。これについて同省は、オンライン化を推進することで、手続きの迅速化と透明性の確保を急いでいると説明した。

 

 

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