今年も製造業に特化した展示商談会「FBCアセアン2024 ものづくり商談会」がタイとベトナムで開催されます。ASEANで事業展開する製造業企業にとって欠かせないイベントとなったFBC（Factorynetwork Business Conference）の魅力、そして今年のFBCのポイントについて、主催者であるNCネットワークの小暮マネージングダイレクターに聞いてみました。
―― FBCの概要を教えてください
製造企業及び関連企業が現地調達や販路拡大をはかるため、在タイ・在ベトナム日系企業、タイ・ベトナムローカル企業を中心として開催される業界特化型の商談会です。今年でタイ開催は11年目、ベトナム開催は8年目となります。
ここ数年、タイでは日系企業から「もっとローカルマーケットを開拓したい」というご相談が増えています。そこで一昨年から、Informa Markets、タイサブコン協会、タイ投資委員会（BOI）とパートナーシップを結び、FBCと併催するかたちにしました。日系企業にとって併催のメリットは大きく、よりローカル企業とのマッチングがしやすくなりました。ローカル側にも日系との技術連携を望む
企業が多いため、Win-Winの関係が生まれています。
FBCでは出展社同士および出展社‐来場者間で事前に商談申込を行うことで効率的にマッチングが行えます。オンライン商談を導入したことで、タイ・ベトナムを中心として日本、中国などからの出展が加速し、越境マッチングもオンライン出展とブース出展を組み合わせたハイブリッド形式で開催しているのも特徴です。
―― 日タイマッチングの要になっていると
FBCと併催をするInforma Markets、タイサブコン協会、BOIから期待されていることは、日系企業とのマッチングです。逆に日系企業はローカル開拓をしていきたいので、その橋渡しになることがNCネットワークのミッションであり、その実現のための手段としてFBCを展開しています。タイサブコン協会、BOI、タイ工業連盟（FTI）などとの連携も深まっているので、日タイマッチングをさらに加速させていきたいと考えています。また、ウェブを活用した引合い獲得として、NCネットワークの工場検索エンジン「エミダス」の改良を進めており、最近はタイ語・英語対応の本格的なウェブマーケティングツールとしても利用されています。
―― タイ製造業のトレンドは
皆様もご存じの通り、タイでは中国系EVメーカーが台頭してきています。一昨年はわずか1万台弱だったBEVの登録台数が、昨年11月末時点で既に約6.7万台となり、乗用車登録台数の10％強を占めました。これまでは日系が優位だった自動車市場のシェアの一部を中国系EVが獲得していくのは避けられない流れです。
―― そうした中でのFBCの役割は
中国系EVメーカーが台頭する市場環境の中で、「中国系EVメーカーに入り込みをしたい」「自動車産業以外の分野へ参入したい」「日系だけでなくタイローカルを開拓したい」という相談が増えつつあります。このような日系企業の課題解決として、リアルマッチングの場であるFBCを活用できると考えています。今年はBOIを通じて中国EV大手のBYD、中国自動車大手の長城汽車（Great Wall）、その傘下のティア1（一次請け）をバイヤーとして誘致する予定です。FBCに参加することで、タイのEV産業に参入するきっかけを得られるかもしれません。
―― 今年のFBCのポイントは
バンコク会場には、在タイの日系自動車メーカー全社に加え、中国とインドからもバイヤーが参加予定です。皆さんが期待するタイのローカルマッチングだけでなく、中国やインドの企業と繋がるチャンスも提供可能となります。
ハノイ会場では、昨年に引き続きハノイ市商工局などとの連携によるローカルマッチングが行われます。今年からI.C.E.という国際展示会場に会場を変更したので昨年以上の来場者が見込めるでしょう。日本からもベトナムで調達先を探しているメーカーや商社、中小企業が参加する予定です。現地パートナー探しなど、ベトナムでのビジネス展開に前向きな企業が集結するので、情報交換にて新たな展開の可能性が開けると考えています。
―― 最後に、読者にメッセージを
FBCは元々、日系企業を中心とした商談会でしたが、オンライン開催を導入してからは、タイ、ベトナム、日本を中心とした「越境商談」も盛んになっています。また今年は中国企業の参加が増えるなど、年を追うごとに国際色ゆたかなマッチングイベントへと進化しています。
FBCは、成長著しいアジア諸国の企業と商談、情報交換ができる有益な機会です。ぜひご参加ください。
