ビジネスニュース 2025年06月30日16:11

News Topics vol.234

News Topics vol.234

CP傘下のトゥルーIDCデータセンターを開設

 大手財閥チャロン・ポカパン(CP)グループ傘下でデータセンター(DC)事業などを手がけるトゥルー・インターネット・データセンター(トゥルーIDC)は5月22日、タイ初となるAIハイパースケール・データセンター「Giga Data Center」をバンコクで正式に稼働させた。
 同センターは、20メガワット超の電力容量を備え、高性能GPUによるAI演算に対応。液冷方式の冷却システムや多重バックアップ機構により、エネルギー効率と安定稼働を両立する設計が特徴だ。AIやクラウド活用が進むなか、国家レベルのデジタルインフラ強化に直結する施設として注目を集めている。
 CPグループのスパチャイCEOは、Giga Data Centerについて「AI主導の未来へと進むタイの競争力を支える土台になる」と語り、AI・クラウド技術へのアクセス拡大と、知識移転による人材育成への貢献を強調した。
 タイ投資委員会(BOI)のナリット長官も「民間主導によるハイパースケール・インフラの構築は歴史的な一歩。タイを地域のデジタル経済ハブへと押し上げる原動力になる」と歓迎の意を示した。
 Giga Data Centerは今後、EV(電気自動車)、デジタルヘルス、スマート農業、フィンテック、デジタルコンテンツなど、いわゆる「新Sカーブ産業」を支える中核インフラとしての役割を担っていく。


タイのマーリット外相日経フォーラムで講演
 
  タイのマーリット外相は5月29日、東京で開かれた日経フォーラム「アジアの未来」に登壇し、米中対立が長期化する中でアジア各国の協調強化と、多国間貿易体制の維持が不可欠だと訴えた。「不確実性がニューノーマルとなったいま、アジアの成長には貿易と投資、強靱なサプライチェーン、グリーンエネルギー、デジタル変革、そして人間中心の成長が不可欠だ」と述べ、地域としての持続可能な競争力を強調した。
 マーリット外相はまた、ASEANのデジタル経済が2030年に1兆ドル規模へ拡大するとの見通しを示し、AI、EV、半導体といった先端分野で今後5年間に20万人超の人材を育成する方針を明らかにした。うちAI専門家および開発者は計14万人を育成する計画だという。
 タイ自身も、現在の中所得国から高所得国への移行とOECD加盟を目指しており、その過程で「日本を最も信頼できるパートナーと位置づけている」と述べ、経済・技術両面での連携強化に意欲を示した。


タイ・IVL、インドの包装材大手EPLに出資

 タイの石油化学大手インドラマ・ベンチャーズ(IVL)は、インド・ムンバイに本拠を置く特殊包装材メーカーEPLの株式24.9%を取得した。取得額は約74億バーツ(約325億円)とされ、IVLが注力する包装材事業の中核を担う投資と位置づけられている。
 EPLは、ラミネートチューブ市場で世界最大手。11カ国に21の製造拠点を構え、従業員数は3,500人を超える。持続可能性に配慮した製品開発と国際展開に強みを持つ点が、IVLの事業戦略と合致するとしている。
 IVLはすでにインド国内でPET樹脂やポリエステル繊維、不織布、酸化エチレン誘導品などの製造拠点を計7カ所運営しており、年内にはリサイクルPET工場2カ所の稼働も予定している。これらの基盤を活かし、包装材分野でのシナジー創出を狙う。
 今回の出資には、IVLの収益源多様化とグローバル供給網強化という狙いに加え、インド政府による製造業振興策や、サプライチェーンの再構築といった外部環境の変化も背景にある。IVLは成長市場インドへの展開を一段と加速させた格好だ。

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