FBC ASEAN 2025年07月02日16:25

出展企業インタビュー (バイヤー)

― 商談会の手応えと今後の展望を訊く

出展企業インタビュー (バイヤー)

FUJIFILM VIETNAM CO.,LTD.
高木英二氏(Global Technical Senior Manager)

 カメラやレンズの製造を担う富士フィルムオプティクスは2023年12月、中国以外の地域から部品調達を強化するため、富士フイルムベトナムに部品調達部門「Global Procurement Department」を新設。それまで日本(埼玉県)にあった拠点をホーチミンに移したことで、アセアンでの活動がより効率的に行えるようになった。
 新体制は日本人3人とベトナム人1人(写真左のクイン氏)の計4名で構成されており、高木氏は「ホーチミンはアセアン地域で活動するのに最適なハブ」と語る。現在、同社はベトナムとタイに協力会社、中国とフィリピンに自社工場を持ち、デジタルカメラや交換レンズ、インスタントカメラ「チェキ」の組立を行っている。
 調達先の拡大に向けた現地活動も活発だ。昨年9月には、ハノイで開かれた製造業向け商談会「FBCアセアン」に初出展。地元の中小企業を中心としたベトナムローカルとの新たな接点が生まれた。従来の情報網では見つけにくいサプライヤーとの出会いが大きな収穫だったという。
 今年はタイで開かれたサブコンタイランドにも初めてバイヤーとして参加。現地の日系企業やタイローカル企業と積極的に面談を行い、アルミの薄肉リングをはじめ、プレス・切削部品、さらに同社製品特有の外装パーツなど、ニッチな部品の調達可能性を探った。
 「展示会では、まずは人と会い、ネットワークを広げることを重視しています」と高木氏。これまでにもベトナム中心にサプライヤー約200社を視察してきた。ベトナムの中小ローカル会社は、小ロットでも非常に受注率が高く、これまでの量産から多品種少量生産の流れに変わりつつある。一方、タイは自動車産業の集積地という背景から、量産型の企業が多いが「中国と同等の品質・コスト・納期(QCD)を備えた調達先を探索していきたい」としている。


SANMINA-SCI SYSTEMS (THAILAND) LTD.
ポンパン・プッタン氏 Material Director

 サンミナ‐SCIシステムズは、エレクトロニクス基板の組立からロジスティクスまでを担う、米国拠点のEMS大手。医療、軍事・宇宙、自動車、通信インフラ、クラウド設備といった多様な分野に向けて、PCBA(プリント基板組立)やBox Build製品を幅広く提供している。
 タイ支社のマテリアルディレクター、ポンパン・プッタン氏は、調達方針とサプライヤー選定について言及。「タイには完成品に近い製造を担える拠点があり、BoxBuildに対応できる実力ある企業も多い」と述べ、地場パートナーへの期待を示した。
 PCBAに使われる主要部材は、顧客がブランドを指定するケースが多い。一方、BoxBuildに関しては現地調達の裁量が大きく、昨年の本展示会では、日本の新規サプライヤーと出会い、厳格な品質基準に対応できることから、ビジネスに発展するきっかけが生まれたという。
 米国の関税政策については「現時点で影響は出ていないが、正式な発表を待ち、今後の戦略を検討したい」と慎重な姿勢を見せた。
 タイでの事業は、BOI(タイ投資委員会)の支援もあり、順調に進行。サプライヤー選定にあたっては「中小企業であっても、品質・環境・プロセス管理の基準を満たしていれば歓迎する。数よりも、共に成長できる関係性を重視している」と語る。現在はとくにプラスチック射出成形のパートナーを模索中。「品質は十分だが、価格競争力に課題がある。より適した企業を引き続き探している」と述べた。
 製品品質にとどまらず、信頼と持続性を軸とする姿勢が、同社の調達戦略に色濃く反映されている。


ZF LEMFORDER (THAILAND) CO., LTD. 
マナスポン・ウォンサワット氏 Project Launch Manager

 ZFフォックスコンは、精密なシャシーモジュールで知られる自動車部品メーカー。世界25カ所に工場を構え、各国の完成車メーカーに製品を供給している。インターマック&サブコン2025の会場で、タイ法人ZFレムフォルダーのプロジェクトローンチ・マネージャー、マナスポン・ウォンサワット氏に話を聞いた。
 同社の調達は「Direct Parts(主要部品)」と「Indirect Parts(補助部材)」に大別される。前者は完成車メーカーの承認が必要なため採用までに時間を要する。一方、後者はバイヤー主導で進めやすいという。
 ウォンサワット氏は、「IndirectPartsなら、その場で交渉を始められる。展示会は、こうした出会いの場として非常に有効だ」と語った。
 調達環境は不安定さを増している。なかでも米国の通商政策は、サプライチェーン全体に大きな影響を及ぼすと指摘する。
 「たとえば、メキシコから部品を仕入れ、米国を経由して運ぶ際に通関条件や関税が変われば、納期もコストも大きく揺らぐ。物流のハブに支障が出れば、調整は容易ではない」
 日本の自動車メーカーに関しては、EV化への対応が慎重に映ると話す。
 「内燃機関を前提とした既存のサプライチェーンが背景にあるのは確かだが、あえて様子を見ているようにも感じる。市場の競争が一段落してから動き出す構えかもしれない」
 今後の調達においては、AIの活用が鍵になると見ている。
 「AIで候補企業の情報を集めれば、マッチングのスピードは格段に上がる。でも、直接会って話すことの価値は変わらない。AIとface-to-faceの併用が、新しい標準になると思う」
 最後に、調達現場での判断が消費者にも直結していると強調し、「サプライチェーンの変化は、価格や選択肢にすぐ反映される。だからこそ、状況の変化に即応できる体制が欠かせない」と話した。

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