FBC ASEAN 2025年07月02日15:26

出展企業インタビュー (FBC)

― 商談会の手応えと今後の展望を訊く

出展企業インタビュー (FBC)

CHUBU RIKA LONG HAU (VN) CO., LTD.
若松裕之氏 Vice President

 中部理化ロンハウは、アルミ部品の表面処理を中心に、材料調達からアルマイト処理まで一貫対応するベトナム拠点のメーカーである。自動車関連部品を主力に、小ロット案件にも柔軟に応じる体制を整えている。「アルミのことならAnything!」を掲げ、加工から仕上げまでの総合力を強みにしている。
 FBCバンコクでは「表面処理メーカー」として一定の認知があることを実感しつつも「今回は部品加工メーカーとしての認知拡大を狙ったが、ややPRの軸がずれた印象もあった」と若松裕之副社長は振り返る。ただ、表面処理へのニーズが根強いことを再確認する機会にもなった。
 タイやベトナムでは、地場企業の台頭が進む。「競争環境は確実に変化している。現状に甘んじず、常に切磋琢磨していかなければならない」と語る。今後はASEAN市場において「部品加工メーカー」として認知を広げていきたいと意欲を示す。
 トランプ関税については、現在のところ大きな影響は出ていないものの、日本やメキシコ経由で米国へ納入している製品もあるため「今後の動向を注視していく必要がある」と慎重な姿勢を見せた。


ENDO VIETNAM COMPANY LIMITED
ファム・ゴック・ルオン氏 Sale Section Head

 ENDOベトナムは、ハノイのTLIP1工業団地に2つの工場を構え、鋼・ステンレス・アルミ・銅の各種部品を高精度に加工している。CNCフライス盤や研削機、旋盤などを備え、単品から量産まで対応。安定した品質と価格競争力を強みとし、日系メーカーからの信頼も厚い。
 今回のFBCバンコクには営業責任者のファム・ゴック・ルオン氏が参加。「572社が出展する“ワンストップショップ”のような場で、特に3日目以降は来場者が一気に増え、熱気ある商談が続いた」と手応えを語る。
 スタンプラリーや植物配布など、主催者によるPR施策も来場者の関心を引いていた。ブース運営にも工夫を凝らし、スタッフの対応と快適な会場設計がスムーズな交流を支えた。
 タイの製造業については、「加工だけでなく、設計やR&Dまで対応する創造的な企業が増えている」と評価。また、「高度な技術を前面に出す出展者はまだ限られていた」との見方も示す。出展企業の国際色も濃く、「中国、韓国、欧州の企業が多く、ASEAN市場における成長の可能性を強く感じた」と話す。
 今後は日系企業との関係深化にも意欲を見せる。「信頼関係をさらに強め、市場動向についても率直に意見を交わせる関係を築きたい」と語った。
 一方で、ベトナムに課される米国の高関税には強い懸念を抱く。「このままでは価格競争力を失い、顧客の発注保留や新規開拓に影響が出かねない」と指摘する。
 FBCバンコクでの出展を通じて、ファム氏はタイ市場のポテンシャルとともに、国際的な連携の必要性をあらためて実感したという。


FURUYA INDUSTRIES (THAILAND) CO., LTD.
降矢健氏 Managing Director

 フルヤ工業タイランドは、精密・高品質を求められるプラスチック成形を強みとし、金型製作から成形、異材質2色成形やインサート成形、さらに塗装や印刷などの二次加工までを社内で一貫対応できる体制を構築している。
 FBCバンコクでは「具体的な手ごたえはないが、面談者との今後の接し方によって可能性があるかもしれない」とし、将来に向けた種まきとして位置づけた。タイの製造業をめぐっては人件費の高騰や受注量の変動が続くなか「それらを吸収できるような自動化がカギになると思う」と述べた。
 タイ市場およびASEANでの展開については「特に日系はかなり厳しいと推測している」と率直に語り、自動車業界におけるEVシフトに関しても「日系は、影響を事前に推測できていても手が打てない
(打てていない)のが現状」と厳しい見方を示す。そのうえで「苦戦している各メーカーに躍進を期待している」とエールを送った。トランプ関税については「今後少なくとも影響は出てくると思われるが、既に訂正、変更を繰り返していること、米国民への負担、工場移設の現実性等課題は多いと思う」との見解を述べた。


HOGETSU VIETNAM CO., LTD.
佐々木豊氏 Head Office & Factory Sales Manager

 抱月ベトナムは、ベトナムで10年以上にわたり鉄鋼鋼板の加工を手がけてきた。JIS材を用いたガス・プラズマ・レーザー溶断に加え、溶接、曲げ、塗装、機械加工といった後工程にも対応。「出会えてよかった」と言われる会社を目指し、日本の加工技術を積極的に取り入れながら、高精度な部品を提供している。
 今回のFBCバンコクには、セールスマネージャーの佐々木豊氏が参加。東南アジアを中心に、日本やシンガポール、欧米のサプライヤーとも新たな接点を築く機会となった。「天候の影響で来場者数はやや控えめだったが、将来に繋がる出会いもあり、有意義な時間となった」と振り返る。
 注目しているトレンドの一つは農機市場の安定成長だ。「自動車関連は低迷する一方で、農業の機械化が進む中、農機需要は底堅い」とみる。また、人口減による労働力不足に直面するタイでは、自動化と国際連携の強化が鍵になると分析する。
 今後の展開については「タイ市場に限定せず、ASEAN域内全体での協力体制づくりが必要」とし、労働力確保を含めた広域的な生産戦略の重要性を強調。日系企業は価格競争力と高品質の両立、そして円滑な意思疎通を通じた確実な調達が求められている。
 トランプ関税の影響は現時点では軽微としつつ「今後の為替変動や中国市場の動向によっては、新たな市場機会が生まれるかもしれない」と前向きな展望を示した。


INNOTEK JOINT STOCK COMPANY
ホアン・ハイ氏 Marketing of the R&D Department
 
 創業から13年。イノテックは、二輪車・自動車部品から農業機械、建設、食品加工、家具部品まで、多様な分野のニーズに応えるベトナムの機械部品メーカーだ。競争
力のある価格と確かな品質を強みに、「ベトナム機械産業を牽引するトップサプライヤー」を目指している。
 FBCバンコクの会場で、マーケティングおよびR&D部門を担当するホアン・ハイ氏に話を聞いた。
 「FBCに参加できて光栄に思う。今年は2~3社の新たな見込み顧客を工場に迎えられれば」と語るホアン氏。昨年の商談会では1社と契約を結び、すでに受注も始まっているという。「成果が出ているからこそ、今年も手応えを感じている」と笑顔を見せた。
 注目しているのは、タイにおける電気自動車(EV)産業の動向だ。「タイのEV産業の勢いは目を見張るものがあります。ベトナムにとっても大きな学びになるはずです」。
 展示会を通じたネットワークづくりの機会にも言及する。「タイという市場で、こうして実際に展示できること自体が価値ある機会。国境を越えたパートナーシップや、新たな顧客との出会いにつながります」
 日本企業への印象については「長期的な協力体制と誠実なサポートが魅力。そうした関係性を大切にしています。日本企業との協業は大歓迎です」と語った。トランプ関税については「確かに影響はありましたが、大きな障害とは考えていません」と冷静に受け止める。市場の変化に柔軟に対応し、地域を越えて信頼関係を広げていく。イノテックは、ASEAN市場でのさらなる展開を着実に見据えている。


RHYTHM VIETNAM (SAIGON) CO., LTD.
萩原努氏 Director (Sales & Purchase)
 
 リズムベトナム(サイゴン)は、今年4月に社名を変更するまで「協伸ベトナム」として知られていた。
 1995年の創業以来、ホーチミンを拠点に30年以上にわたり金属プレス部品を製造してきた実績を持つ。プレス用金型の設計・製作やインサート成形、組立に加え、自社内にめっきラインを保有し、製造から表面処理、組立までを一貫して手がける体制を整えている。
 FBCバンコクには、販売・購買ディレクターの萩原努氏が参加。今回の出展では「内製めっきによるコスト・品質面での優位性」をPRポイントに据えたという。「とくにフープめっきに関心を示す来場者が多かった」と手応えを語る。
 ベトナムはタイに比べ人件費が低く、ホーチミンからの輸送リードタイムも比較的短い。こうした利点を背景に、同社ではタイ市場への供給強化を見据えて出展。「既存顧客のタイ拠点とも新たな接点が持てた一方で、新規顧客との将来につながる出会いは予想より少なかった」と振り返る。
 現地の業界動向については、「在タイ日系企業の間では生産状況が伸び悩んでいる印象がある。中国系自動車メーカーの進出による影響も否定できない」と警戒感をにじませた。
 グループとしてタイに新たな生産拠点を持つ予定はないが、タイ市場そのものへの関心は継続。「ホーチミンからの供給を通じて、今後も製品拡販を進めたい」と話す。また、日系企業への期待として、「日系製造業同士の結束を強め、景気の波に左右されない体質を築いていければ」と語る。外資系との取引も視野に入れつつ、主力は引き続き日系との連携と位置づけている。
 トランプ政権下で導入された関税については、「米国向けの直接輸出がないため、現時点では影響はない」としている。


THAI SOHBI KOHGEI CO.,LTD. / PRESS CRAFT (THAILAND) CO.,LTD.
細川勇介氏 Marketing Department Senior Manager (THAI SOHBI KOHGEI)   
上山謙治氏 General Manager  (PRESS CRAFT)


 タイ創美工芸は、タイ東部アマタナコン工業団地近郊に拠点を構え、精密プレス加工で36年の実績を誇る。創業当初80名体制から現在では1000名規模へと成長したが、変わらぬ方針として「迅速・小回りの利く企業創り」を徹底。金型内製化や現場改善活動を軸に、納期短縮、品質管理、コスト低減を実現している。
  グループ会社のプレスクラフトは、タイ東北地方ナコンラチャシマ県に工場を構え、タイで創業30年。主に金属プレス部品の製造を手がけており、プレス加工に加え、溶接や塗装といった二次加工を行っている。「顧客管理や生産面での懸念事項、改善点など2社の日本人同士ならずタイ人社員同士でも日頃からそれぞれの取り組みも理解しており、グループならではの連携が強みだ」と上山氏(写真右手)は語る。
 今回のFBC2025はグループにとって初出展。グループとして「展示会の空気感を知り経験を積む」ことに主眼を置いており、具体的な商談成果よりも、社内関係者にとって有意義な経験となったという。
 タイの製造業においては、自動車業界の動向に強い関心を寄せており、今後、東南アジアでEV(電気自動車)がシェアを拡大するのか、内燃機関車の比率がどう推移するのかを注視している。
 一方、市場展望には慎重な見方を示し、「景況感に明るい要素は少ない」としたうえで「企業努力を積み重ね、外部環境に目を配りながら、事業の持続性を追求する姿勢が重要」と細川氏は語った。


VUTEQ THAI CO., LTD.
米田靖浩氏 General Manager

 ビューテックタイは、大型プラスチック製品の射出成形から静電塗装、製品設計・試作・模型製作、さらにはスチール製パレットの設計・納入まで一貫対応できる体制を構築している。3000トンの射出成型機や自動静電塗装ラインを備え、設計から納入までの「ワンストップサービス」を強みとしている。
 FBCバンコクでは、ビューテックテクニカルセンターが開発、ビューテックタイが製品量産・パレット製作、ビューテックアジアが納入(トラック輸送)を担う──というグループ全体の連携による一貫体制を前面に打ち出し、認知拡大につなげた。昨年と同様のPR内容ながら、今年はブースを2区画確保したことで、より効果的な訴求が実現したという。
 タイの製造業については、機械化・自動化・少人化の動きに注目。グループとしてもワンストップ体制をさらに強化すべく、現時点で外注に頼っている一部工程の内製化を今後の課題と見据えている。
 市場展開については「タイではまだシェア拡大の余地がある」とし、他のASEAN地域については「市場というより既存顧客のニーズが大きく影響する」と捉えている。
 日系企業には「品質やパフォーマンスを重要視したサプライヤー選定を」と期待を寄せる。トランプ関税に関しては「輸出用PLなど、一部の業務に悪影響が出る可能性はあるが、現時点では様子を見ている段階」と冷静に情勢を見守っている。

 

 

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